手術によって病変を全て摘出できれば、それがもっとも有効な治療法

手術の、最大かつほかの治療にはないメリットは、迅速な腫瘍の減量と、正確な診断確定です。一部の腫瘍を除き、その正確な診断には腫瘍を取り出して顕微鏡で調べる、「病理組織検査」が必要です。放射線治療や薬物療法は組織の病理組織検査結果によって、より効果的に施行することができます。
半面、脳を含めた中枢神経は、病気が原因でも手術が原因でも、一度破壊されると再生するのは困難です。治療目標を共有したうえでより有益となるよう、全摘出、部分摘出、生検など症例ごとに検討します。

良性脳腫瘍は、手術で完全に摘出できればほとんどの場合再発することはありません。また、悪性脳腫瘍の場合も、手術による生検で中枢神経系悪性リンパ腫や胚細胞腫と診断がつけば、その後の薬物療法や放射線治療の効果が高いと考えられるので、無理に摘出する必要がない場合もあります。 手術は手術用顕微鏡を使用した精密な手術が行われ、必要に応じて、運動誘発電位などの術中モニタリング、蛍光色素、神経内視鏡や手術用ナビゲーションを使用し、脳損傷の少ない、脳に優しい手術を行っています。